骨休め
8月28日 (土) 晴れ
本当にヤバイくらい忙しかったこの数週間の疲れを癒す為、ゆったりとした旅に出た。
今日の相棒は小さなマシンだ。
スピードも出ないし、荷物も沢山積めない。
しかし今回の旅には最高の相棒だ。
街道の峠をゆったりと越えると、いつもと違う景色が見えてくる。
他の車やバイクの迷惑にならない様、よけながらゆっくりと走る。
宿場町の旧道に入るとイギリスのバイクが道の真ん中で、こちらを向いて立ち往生している。
なにか異変を感じた私は止まって声をかけた。
『どうかしましたか?』
英国ライダー
『ギアが突然入らなくなっただけですから大丈夫です』
それを聞いて心配になった私は、路肩にマシンを停めて英国マシンをみせてもらう。
最新型のその英国マシンにはギアポジションインジケーターがあり、何をしても5速からダウンしないのだ。
英国ライダーはインジケータが故障でエラーが出ているのではないかと言う。
しかし仮にそうだとしてもギアが変わらないのはおかしいから、とにかく今何速に入っているか確認しましょうといって、登り坂にマシンが向いているので、Uターンしてもらう。
下り坂なら5速でも何とか発進出来るからだ。
エンジンをかけてスタートしてもらうが、案の定5速らしい。
私も色々と試したが確かに手応え、いや、足応えが何かおかしい。
考えられる全てのトラブルシュートをした。
私はシフトペダルの根本を確認。
リンク式ならまだ希望があるが、残念ながらギアボックスからダイレクトにシャフトが出ている。
経験からかなり状況は深刻だと悟った私は、まだ40代くらいの英国ライダーにそれを伝えた。
私の言うことを理解してくれた彼は
『分かりました、ディーラーに電話してみます』と言って肩を落とした。
聞くと今朝神奈川から出て、今晩は上高地の手前の宿に泊まる予定らしい。
私は過去に路上でトラブルを抱えたライダーに、何度か力になってあげた事がある。
簡単に直った時も有るが、とても時間がかかった事もある。
しかしどれも見てすぐに自分の持っている道具で、今そこで直せる自信のあるものだけ触らせてもらった。
だが今回は恐らくエンジンを開けなければならないから、素直に引き下がった。
私の診断が間違いであり、簡単に直ることを祈って。
気を取り直して観光
宿場の本陣
だんだん暑くなってきた所で、いつものコンビニでコーヒーとツマミをゲット。
そしたらデッカイバイクが横に。
千曲市から来て、これから美ヶ原まで散歩との事。
気を付けてと見送られた。
命懸けで走った国道からやっとそれて、温泉街へと狭い道を進む。
なんとも味がある。
お寺にある大けやきの切り株。
何年か前に仕方なく切られてしまった。残念だかどうにもならない。
お寺の境内で少し休憩。
誰もいないから静かでホッとする。
大好きな温泉街。
なんとも味があるではないか。
これもまた味のある外湯。
そしてあっという間に今夜のお宿に到着。少し早いが快く入れてくれた。
前に来た時と同じく、奥の屋根下ガレージへマシンを停める。
今回は一番良い部屋だ。
風呂もトイレもあるが、ホントは私は安くて狭い部屋がこういう宿では大好きなので、何故かそわそわする。
距離は大したことないが、スピードも出せなくて後ろばかり気にしながら走る単車は、普通の単車では200キロくらい走った感じだ。
早速宿の温泉に浸かり、その疲れをゆっくり取る。
そして外湯の券を頂きそのまま外湯へ。
ビックリしたのは外湯はお客さんが沢山いて賑わっていたので、軽く湯船に浸かりすぐに出たら、パズルの本を夢中で解いていた番台のオバチャンが
『凄い早いね』と笑っていた。
そして部屋に戻り至福の時間だ。
何も考えずに地図を見たり、スマホで好きなことを検索したり。
本当に自分だけの時間だ。
たまらない。
そして晩御飯
このての宿らしく、私にとってはどれも最高のご馳走で残さず頂いた。
こんな料理が幸せだ。
特筆すべきはこの宿のご飯だ。
ご主人がすぐ近くで作っているらしいのだが、前回頂いた時に世の中にこんなに美味しいお米があったのかと思うほど旨かったので、いつも晩御飯は米を食べないが、おひつのご飯は事前にお茶碗半分位で結構ですと伝えておいて最後に頂いた。
しかし意外と多くて残してしまったのが悔やまれる。
本当に個人的には最高に美味しいお米だ。
疲れきった身体と心をゆっくり休めよう。
おやすみ
8月29日 (日) 晴れ
エアコンのお陰でぐっすりと眠れて、清々しい朝がきた。
カーテンを開けたままの外を見ると、雲が厚いが雨の心配はなさそうだ。
これも楽しみにしていた朝御飯。
素材はどれも素朴な物だが、それがたまらなく嬉しい。
そしてあの最高のご飯だ。
おひつを空にして、大満足。
チェックアウトの時間まで意味もなく地図を見たり、スマホをいじったりしてゆったりと過ごす。
宿ではテレビは一切見ない。
名残惜しいが出発だ。
清算をして、お土産にあの幻のお米を頂き、見送りをしてくれた大女将と記念写真を撮り出発する。
しかしすぐ先の旅館の前の自動販売機でコーヒーを飲む。
出発してわずか三秒だ。
そこでコーヒーを飲みながらゆっくりと本日のプランを練る。
優雅な時間だ。
この宿は何やら秘湯を守る会とからしい。
何となくルートも決まり出発。
狭い道を選んで走り、山越えに備えて給油する。
大好きな牧場での牛さん
頑張って登る山道
そして着いた
バイクだらけ
お土産を買い、名物の山賊焼を食べる。
お天気も良く、素晴らしい日だ。
さぁ、あとは無事に帰るだけだ。
頑張ろう
そして無事帰宅
今回も本当に楽しかった